様々な輸入住宅の様式を知ろう
近年は輸入住宅が人気ですが、一口に輸入住宅といっても様々な様式が存在しています。アメリカの様式にするかそれともヨーロッパのものにするかによって大きく見た目が異なるでしょう。まずは、それぞれの特徴を知ることが重要になります。
「コロニアル様式」の特徴
輸入住宅の様式のひとつにコロニアル様式とよばれるものが存在していますが、これは17世紀から18世紀にかけてのオランダやスペインをはじめとするヨーロッパの国々で見られた形になります。その特徴を一言で言えば、ナチュラルな家と言えるでしょう。まず玄関のところには必ずポーチが付いているのが特徴で、窓も日本の住宅と異なりそれよりも一回り大きなものが設置されています。ナチュラルな家でありながら日本のナチュラルな家とは少し趣を異にしています。
コロニアルにも様々なタイプがありますが、アメリカンタイプにするならばサイディングの種類を気にしておきましょう。サイディングにより、まったく見た目が異なってしまうからです。サイディングは主に金属系か窯業系を使うことになります。
これに対して、アーリーサザンコロニアルと呼ばれるタイプは屋根が急こう配になっており煙突が目立つのが特徴で、まるで外国のカフェみたいな家といえます。また、アンティークな家といっても言い過ぎではないです。実際に暖炉をつけた方がアンティークな家を演出することができますが、安全性などを確保したうえで設計をする必要があります。
「ジョージアン様式」の特徴
輸入住宅のもう一つは、ジョージアン様式とよばれるものがあります。このタイプの輸入住宅は17世紀ごろイギリスでよく建築されていた住宅になります。その特徴は、富裕層の間で利用されていたため豪華な造りになっていることです。それでいながらアンティークな家としての一面もあり、輸入住宅の中でも人気があります。
17世紀ごろは石造りでしたが、実際に建築する場合は必ずしも石造りにする必要はありません。ガラス窓が多いのが特徴で、1面に6個から8個ぐらいは用意した方が見栄えが良くなるでしょう。窓は日本の住宅にあるように横に引くタイプではなく、上げ下げするハングウィンドウを利用しています。
玄関はパネルを用いるのが普通ですが、ポーチは存在していないため注意が必要です。全体的にかわいい家にしたい場合は、配色を薄いピンクにするか水色を使うと良いかもしれません。ただし、もともと成功者のシンボルとしての住宅ですので、かわいい家にするならば建築業者とよく相談する必要があります。本来の形を崩してしまうぐらいかわいい家にこだわると、元々あったデザインの良さをなくしてしまう可能性があるからです。
「チューダー様式」の特徴
輸入住宅の中で、ひときわ目を引くのがチューダー様式になります。このスタイルの特徴は、オーバーハングと呼ばれるつくりになっており、1階の面積よりも2階の面積の方が広い点です。つまり、2階部分を支える柱が外に出ている可能性が高くなります。これが輸入住宅の中でも大きな魅力となっており、ひときわ目立つ存在になる理由のひとつです。
実際のイギリス住宅は、外壁がホワイトに塗られているのが一般的ですので、外壁はホワイトを用いるようにするべきです。おしゃれなタイプが多く、雑貨が似合う家とも言えます。より雑貨が似合う家にするためには、内装を工夫しなければなりません。木造の内装が基本になりますが、木材も合板材では中途半端になりますので、本格的な無垢材を利用することでより雑貨が似合う家に変身します。
この住宅の問題点は、輸入住宅のため海外から素材を取り寄せなければならないことです。チューダー様式を扱っている輸入住宅の会社は少ないため、特定の会社を選ばざる得ない状況になります。そのため、事前によく情報を集めておくことが必要になるでしょう。
「プロヴァンス様式」の特徴
プロヴァンス様式は、輸入住宅の中でも海に近い地方で建築されている住宅で、日本でもよく見かけるタイプになります。カフェみたいな家と感じる人がいるかもしれませんが、実際にカフェみたいな家にするためには外観だけでなく内装もおしゃれにする必要があるでしょう。
もともとこのタイプは、地中海に面したスペインを中心に流行しており、どちらかといえばヨーロッパの風景をイメージさせるかもしれません。実は同じような家はアメリカの西海岸の方にもたくさんありますが、これはスペイン人がアメリカ大陸に上陸したときプロヴァンス様式の住宅を建築したことがきっかけになっています。
外壁は白で塗られており、モルタルを使用していることが多くなりますが、最近はサイディングを利用して外壁をそれらしく見せることもできますので、特にモルタルでなければならないといった決まりはないでしょう。
屋根を見ると瓦を利用していますが、瓦も一つの色だけを利用しているわけではなく、何種類かの色がまざっているのが特徴です。一般的に多いのはホワイトと薄いオレンジ、そしてアイボリーなどです。
「プロヴァンス様式」の注意点
プロヴァンス様式の住宅に住むためには、吹き抜けにするのが一般的ですので、冬などは暖房のことをよく考えて設計する必要があります。一部分だけ吹き抜けであればよいですが、リビングの半分以上が吹き抜けになっている場合は冬場に暖房をつけた時の熱がすべて上の方に行ってしまい、いつまでたっても1階のリビングがあたたかくならないといった問題が出てきます。
なぜこのような問題が起こるかといえば、もともとこのタイプの住宅は温暖な気候のところで建築されているからです。夏の暑さをしのぐために風通しの良い設計にはなっていますが、肝心の冬の寒さに対する対策ができていないわけです。
そこで、対策の一つとして床暖房を入れる必要があります。床暖房の熱であれば上昇してしまうことがなく床自体があたたかいため、冬場には強い味方になってくれます。また、暖炉を入れることで継続的に部屋の空気をあたためることができます。暖炉は温度調節が難しいですが、火が付いている間は部屋全体が温まりますので空気が上昇したとしてもそれほど室温に影響はありません。このようにちょっとした工夫をすることで、より住みやすい住宅にすることができるでしょう。
まとめ
輸入住宅を建築するときには、さまざまな様式があることを知っておくべきです。それぞれ見た目が美しいですが、実際にそこに住むときにどのような問題点があるかを事前に知っておくことで、住みやすい住宅を実現することができます。